初日の朝礼で確信
議事録の書き方を誰も知らない。会議は毎回同じ話が繰り返されて、誰も結論を出さないまま終わる。先輩に質問すると、昔からこうだから、という答えが返ってくる。その「昔から」が何年前なのか、誰もわかっていない。
職場のレベルが低い、と感じる瞬間って、案外そういう地味なところから来る。暴力的な出来事じゃなくて、小さなモヤモヤが積み重なっていく感じ。でもそのモヤモヤ、無視しない方がいい。
違和感は早めに言語化した方がいい
なんとなく合わない、というぼんやりした感覚のまま置いておくと、消耗するだけで何も変わらない。
何が具体的に低いのか、を整理すると見えてくるものがある。仕事のスキルが低いのか、コミュニケーションの質が低いのか、それとも職場全体の意識や文化の問題なのか。全部ひっくるめてレベル低い、で処理してしまうと、対策も出口も見えなくなる。
職場のレベルが低い、の中身を分解する
一口にレベルが低いといっても、種類がある。
スキル・能力の問題
一番わかりやすいパターン。
Excelの基本操作ができない、議事録が書けない、報告・連絡・相談の概念がない。こういう状態は、個人の能力の問題でもあるけど、そういう人材しか集まらない、あるいは育てられない組織の問題でもある。採用基準が低いか、教育の仕組みがないか、そのどちらかか両方だ。
スキルの低さは、一緒に仕事をしていると直撃する。自分がフォローしなければならない場面が増え、残業も増え、評価は特に変わらない。はぁ…という息が自然に出る状況が続く。
意識・モチベーションの問題
こっちの方がじわじわ効いてくる。
仕事を終わらせることだけが目標で、質を上げようという発想がない。ミスをしても改善策を考えない。残業をなるべくしないことに全エネルギーを使っていて、仕事の中身には関心がない。
別にやる気に満ちていない人が悪い、という話じゃない。ただ、自分だけが改善しようとしている環境で、長く走り続けるのは相当しんどい。
文化・マネジメントの問題
一番根深い。
上が機能していない職場は、現場がどれだけ頑張っても構造が変わらない。成果より声の大きさで評価が決まる、失敗を隠す文化がある、変化提案をすると面倒くさがられる。こういう職場は、個人のスキルが上がっても状況は改善しない。むしろ、できる人から辞めていく。
なぜレベルの低い職場が存在し続けるのか
疑問に思ったことがある。なんでこの状態で会社が続いているんだろう、と。
変化のコストを恐れている
今のやり方を変えることへの恐怖が、現状維持を支えている。
ミスが起きても、昔からこうだからという言葉で処理できてしまう。変えようとすると責任が発生する。だから誰も変えない。変えない方が安全という学習が組織全体に染み込んでいる。
比較対象がない
外を知らない人間が多い職場は、自分たちがどの水準にいるかがわからない。
転職経験がなく、ずっと同じ会社にいる人が多い組織ほど、このパターンになりやすい。低い状態が普通だと思っているから、改善する必要性を感じない。そこに外から来た人間が、これおかしくないですか、と言っても、え、普通じゃないの、と返ってくる。
利益が出ているから変えなくていい
これが一番厄介だ。
なんだかんだ黒字が出ている会社は、レベルが低くても存続できる。変える理由がない。危機感がなければ人は変わらない。変わらなくても困らないなら、変わらない。シンプルにそういうことだ。
レベルの低い職場にいた、私の話
前職の話をする。
中途で入社した会社で、最初の一ヶ月で全部わかった。会議のたびに同じ議題が出てきて、毎回結論が先送りになる。議事録がないから前回何を決めたかが共有されていない。だから毎回ゼロから議論する。この無限ループに、誰も疑問を感じていなかった。
(これ、おかしいよな。おかしいよな?)
心の中でそう繰り返しながら、三ヶ月くらい黙っていた。
改善を提案したら何が起きたか
勇気を出して提案した。議事録のフォーマットを作りましょう、決定事項は必ず記録しましょう、と。
反応は二種類に分かれた。若手は賛成してくれた。ベテランは、今まで困ってないからいいんじゃないか、という顔をした。声には出さないけど、雰囲気でわかる。空気がすっと冷えた感じ、あれは今でも覚えている。
結果的に議事録の文化は根付いたけど、そのやり取りで消耗したエネルギーの回収には相当時間がかかった。変えることができたとしても、タダじゃない。
変えようとする人間が一番消耗する
これが現実だ。
レベルの低い職場で改善を試みる人は、周囲の抵抗と、変わらない現実と、自分の疲弊と、三つを同時に相手にすることになる。それが続くと、自分のレベルまで下がっていく感覚が来る。まあいっか、という言葉が頭に浮かぶ回数が増えてくる。そのまあいっか、が増え始めたら、本気でやばいサインだ。
「慣れ」が一番怖い
じわじわ侵食してくる。
最初はおかしいと思っていたことが、半年後には普通に見えてくる。一年後には、自分もそのやり方でやっている。気づいたら低い水準が自分のデフォルトになっている、という状態。これが、レベルの低い職場に長くいることの本当のリスクだ。
自分の市場価値がわからなくなる
外部との接点が減ると、基準が狂う。
自分のスキルが世間でどのレベルなのか、この仕事のやり方が一般的なのかどうか、判断する材料がなくなっていく。転職活動をしてみて初めて、あ、自分が思っていたより市場価値が低下していた、と気づくケースは珍しくない。
思考のクセが変わる
これが一番静かで、一番深刻かもしれない。
問題を見つけても解決策を考えない思考パターンが、じわりと定着していく。なんとかなるか、という感覚が先に来るようになる。仕事に限らず、生活全体に影響が出てくる。人間は環境に適応する生き物で、その適応が必ずしもいい方向に向くとは限らない。
残るか、辞めるか。判断するための基準
感情だけで決めると後悔しやすい。少し整理する。
残った方がいいケース
スキルアップの機会があるかどうか、が基準になる。
レベルは低くても、自分がやりたい仕事ができていて、学べることがある。裁量が大きくて、経験を積める。そういう職場なら、環境の低さを補えるものがある。人間関係が悪くなく、給与が許容範囲内なら、外部のコミュニティや副業で刺激を補うという選択肢もある。
辞めた方がいいケース
自分の成長が止まったと感じ始めたら、考え時だ。
何も新しいことを学んでいない、自分の考えを話せる人間が職場にいない、改善提案が毎回潰される。この三つが揃っていたら、長くいるほど損失が積み上がる。年齢が上がるほど、転職の選択肢は狭まる。動けるうちに動く、の判断は早い方がいい。
迷っている状態が一番危ない
辞めるか残るか、ずっと迷っている状態が最もエネルギーを消費する。
決断するよりも、迷い続ける方が疲れる。転職活動だけ先にやってみる、という方法がある。実際に動いてみると、市場の反応というリアルな情報が入ってくる。情報がないまま考え続けても、答えは出ない。
転職先でも同じだった、という話
職場のレベルが低いことへの不満で転職しても、次の職場でまた同じ不満を抱えた人を何人か見てきた。
なぜそうなるのか。
環境だけを変えても、自分の中の基準や関わり方が変わっていなければ、同じパターンが繰り返されやすい。レベルの低い職場に不満を感じるのは当然だけど、その不満の中に、自分のコントロールできることとできないことが混ざっている。
できないことに怒り続けると、どこに行っても消耗する。
自分が何をしたいのか、どういう環境で働きたいのか、その解像度を上げてから動いた人の方が、転職後に落ち着いている印象がある。環境への不満は出口のエネルギーにはなるけど、それだけでは行き先が決まらない。
今の職場のレベルを、自分の水準にしない
どんな環境にいても、自分の基準は自分で持ち続けることができる。レベルの低い職場で、周囲に合わせてクオリティを下げていくのか、それとも自分のやり方を守りながら動くのか。どちらを選ぶかは、環境ではなく自分が決める。
外部の勉強会、本、副業、転職活動、なんでもいい。今の職場の外との接点を意識的に作り続けることが、自分の基準を保つ唯一の方法だ。その積み重ねが、次の選択肢の数を増やしていく。

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